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凛とLen

「うっ……」
「目が覚めたか、Len。」
「ああ。何とかな。」
そう言って凛の目を見ると薄く涙が。
「良かった……すまない……・私のせいで…」
「いや、いい。仕方の無い事だ。俺は大丈夫なんだし。凛の責任じゃないよ。」
「Len…すまない……」
「なぁに、この位の傷はしょっちゅうさ。さて、行こう。俺はレイアを殺さねぇと気が済まねぇ!」
「Len…………私っ……!」
「………もう過ぎたことさ。もうヘマはしないからよ………だから……泣くなよ。凛らしくないぜ。」
「………ありがとう…。」
「よし。いいな?」
「ああ。」
そう言う凛の目には力強さが戻っていた。

自動マーキングのお陰でレイアの位置は直ぐに分かった。ありがたい事だな。
「よし、行くぞ!凛!」
「ああ!」
凛は角笛を鳴らし、その存在を教える。
レイアが凛に気を取られている内に俺はレイアの顔近くに移動し、思いっきりタメ3振り下ろしを食らわせた。
不意を衝かれたのか、一度でスタンするレイア。
「凛!いいぞ!今の内に落とし穴を!」
倒れたレイアの懐でタメ3振り回しをしながら俺は凛に叫ぶ。
……これ以上、Lenに危険なマネをさせたくないってのが凛の意見だったが、俺も男だ。
女性に危険な事はさせたく無いね。危険な所に居るのは俺だけで十分だ。
「いいぞ、Len!」
サンキュ!と言いながらレイアを浮かせる事が出来るほどの力を込めてハンマーを振り上げ、脳天に直撃させる。またヤツが咆哮を上げる。だが、凛は遠くに居て俺は耳栓を発動中だ。残念だったな。
凛がまた角笛を吹く。レイアが凛目掛けて突進するが、その間には落とし穴。
まんまと引っ掛かったな!!と声を荒げながらハンマーを振り下ろす。凛も鬼人斬りをお見舞いする。
「これで……最後だぁぁ!!!」
叫びつつ俺はタメ3振り下ろしを食らわす。
次の瞬間、もがいていたレイアは動かなくなった。討伐完了だな。
………これが協力プレイか。何か……こう…湧き上がるものを感じるな……。
凛も同じ事を思っていたらしく、俺を見ていた。
見詰め合うこと数秒。
俺は左脇腹に痛みを感じ、どさっとその場に座りこんだ。
「……!Len!!そのキズ!!」
「ああ、お前がレイアを落とし穴にはめる時のあの突進がかすったみたいだ。だが、大した事ないさ。」
「だが、出血がひどいぞ!」
「なぁに、直ぐ治るさ。」
へへっ、と言いつつふらふらな足で立ち上がる。
それよりも、行かないとな。あの場所へ。
「すまないが、凛。俺は立ち寄る場所がある。お前は先に帰っておいてくれ。」
「いや、私も一緒に行こう。」
「凛………すまないが、俺一人で行きたいんだ。」
「だが………」
「凛!!」
俺は凛に対して大声で怒鳴ってしまった。
「……!!」
「……すまない、凛。だが……どうしても俺だけじゃないと嫌なんだ。一人で行かせてくれ。」
「……分かった。だが……ちゃんと戻ってきてくれ……」
「ああ。約束するよ。」
そう言って俺は一人であの場所に向かった。
そう。デビルイスと戦ったあの地へ。

この場所へはこれで4度目だな。
「……戻ってきたぞ。デビルイスよ……」
当然、返事など返ってこない。
「あれから、随分と経つが……」
「いつかまた、何処かで戦える。そんな気がするぜ。」
「……………」
「…………凛、ばればれだ。」
「……ばれていたか。」
「ハァ……。まぁいい。いつかは教えようと思っていた所だ。」
「ここが、Lenと…そのデビルイスとやらが戦った所か。」
「まあな。」
まだ何処かに血なまぐささが残っている。
「……さて、戻るか。」
「ああ。分かった。」
そして、俺と凛はポッケ村に戻った。
「………もう夜か。」
「……もしかして……また…?」
「………の様だな。Len。」
「ハハハ……。」
「また一泊するか?」
「………そうさせて貰うよ…」
それから、凛が作ってくれたご飯を食べ、俺と凛はまたあの時の様に小高い丘に来ていた。
「また、こうして一緒にここに来れるとは思ってなかった。」
「ふぅん……」
あの時と同じように二人横に寝転がり、話し合っていた。
それから、ずっと夜が明けるまで話し合っていた。
「もう朝か。早いな。」
よっこらせ、と言いながら服についた草を払う。
「さて、もう帰るかな……」
「えっ?」
「ふっ、当たり前だろ?世話になったね。」
それからジャンボ村への道まで、ずっと無言だった。
「さて。さっきも言ったが、世話になったね。ありがとう。」
「Len……言いたい事があるんだ……」
「?何だい?」
「Len………私………!」
妙に顔が紅くなっている…どうしたんだ?
「私は……Lenの事が好きだ……!付き合って……くれ……」
「えぇ!?そんな事言われたって…」
「………一度だけ言う。聞いてくれ。今、答えを出さなくてもいい。私は待つ…今から半年待つ。私と付き合ってくれるならそれまでに私に逢いに来てくれ……」
それだけ言うと、凛はその場から走り去って行った……。
「………どうなってんだかね………」
そう呟きながら村を後にした。
帰り道の途中。
さて、やはり答えは出さないといけないよな。じゃないと、何時までもこんな状態は嫌だぜ。
「……………………」
その後、ある決心をした俺は急いでジャンボ村に戻り工房のばあちゃんに頼んだ。
「ばあちゃん、この角をちょっと弄くってもらえない?」―――


―――今日は約束最後の日。あれから半年間……ずっと気になっていた……
でも…アイツは来ない。待てども待てどもここには来ない。
「…フフ……フラれたか……」
夜になってもアイツは現れなかった。
私はすっかり来なくなっていたあの小高い丘に向かう事にした。もしかしたら、そう思って。
もうジャンボ村への道は閉ざされているんだ無理に決まっている。そう思っていた。
私はいつもの見慣れた場所を見上げると………。
「よう。待っていたぜ。お前なら、ここに来ると思っていた。」
…見慣れた顔がそこにあった。
思わず、私は走り出した。
「Len!!」
「果たしに来たぜ。永遠の約束をな。」
「Len………」
「凛に渡したい物があって、それで遅れちまった。」
「予想以上に加工に手間が掛かってな。もう道は閉ざされていたんだが。迷わず無視してやったぜ。」
へへっ、と言いつつ私に小箱を渡す。
「開けてみな。」
「…………!」
小箱には、純金の指輪が。
「俺からの気持ちさ。デビルイスの黄金の角を使っているんだ。」
「予想以上に硬かったらしい。工房のばあちゃんもタジタジだった。」
「Len……」
「凛、俺もお前の事が好きだ。結婚も考えて、付き合ってくれ。」
「Len………私っ!」
……何がしたいんだろうな……
私はLenに抱きついていた。
「り、凛!?」
「今は……こうさせてくれ……」
「……分かった。」
そう言うと、Lenは抱きしめてくれた。
暖かい………。
いつかの夢、叶ったんだな………。

凍りついたデビルイスに続く……

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