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無題
凛が再び戦えるようになってから30分が過ぎた。
「オラァ!!」
――ヌゥゥ・・・
「Len、そろそろ疲れて来たか?」
「はぁはぁ・・・凛、お前もだろ。」
「まぁな・・・・・・」
――そろそろ終わりにしようぞ!
「またそのセリフか。聞き飽きたぜ!!凛!そろそろ決着を着ける!この太刀を持ってくれ!!」
「え?あ、ああ。」
俺は凛に太刀を渡して少し息を整えた。
「凛、お前は下がっていろ。」
「・・・・・・・・・分かった。」
俺は静かに目を閉じる。
先ほどまでのうるさい光景が嘘のように辺りに静寂が広がった・・・
「・・・・・・・・・時は満ちた。」
――その言葉・・・もしや!!
「デビルイスよ。俺はあの時、この剣を持ってお前を真っ二つにした。だが、お前には違う剣が刺さっていた。だから、お前は復活したんだ。」
――・・・・・・
「そのお前と戦えるんだ。この剣を持ってもう一度切り裂いてやる。」
俺は静かに腰に帯刀していたもう一つの武器を手に取る。
――・・・・・・やはり、その武器は・・・
デビルイスの声が震えていた。
「・・・・・・双龍剣【天地】・・・・・・!」
凛が呟く。
「・・・・・・・・・あの時とは違う事。お前の身体を持って証明してやるよ。」
――お主・・・・・・
目を開く。
「Len・・・・・・また・・・」
あの目。誰もが恐れるその目を凛に向ける。
「・・・・・・大丈夫さ。俺はLenだ。直ぐに終わる。だから、今は近づかないでくれ。」
「分かった、無茶はするな。」
「サンキュ」と言いながら俺はその目をデビルイスに向ける。
「そろそろ、終わりにしようぜ。お前は既に角は折れている。俺の勝ちだ。だが、お前は戦うんだろ?」
――その通りだ。何故なら・・・
「我は王だから。だろう?」
――その通りだ。互いに守るものがあるのだ。退くわけにはいかぬ。
「・・・・・・・・・その言葉、俺もようやく理解出来た。こればかりは感謝だな。」
そう言いながら凛を見る。凛には声が届いてないらしく、しきりに聞こうとしていた。
「・・・・・・・・・余興もここまでだ。決着を着ける。」
――・・・これで・・・・・・
『最後だぁ!!』
デビルイスが電気を纏って突進してくる。
それに俺は真正面から挑んだ。
「Len!!無茶だ!!」
そう凛の声が聞こえる。だが俺は無視した。
「ハァァ・・・ハァ!!」
俺は頭上で剣を交差させる。
力が増幅した様な気がした。
俺もデビルイスに向かって走り出す。
―――ウォォォォォ!!!
「ハァァ!!」
互いに一閃を出す。どちらも動かなくなった。
暫しの間の後に。
――グゥオォ!
デビルイスの氷色の鱗が鮮血で真っ赤に染まった。
――目がァァァ!!
「終わったのか・・・?」と、凛が呟く。
しかし・・・・・・
――まだ終わってはおらぬ!!
そう言い放ち、デビルイスは空高く跳び俺に回転しながら向かってきた。
「またそれか。何度も同じ手を使うな。」
俺はあの時と同じ様に双龍剣を構える。そして、力強く剣を振り下ろした・・・
――同じだと思ったか!!!
なんと、デビルイスは俺の振り下ろしが当たる直前に方向転換し、地面に着地してから勢い良く体当たりしてきた!!
「Len!!!危ない!!!」
凛が駆け寄ろうとする。
遅いとは分かっていたが。
だが。
――ッッ!!!!!
俺は振り下ろすのを止め、体当たりしてきたデビルイスの懐に潜り込み、腹部に力いっぱい膝蹴りを食らわせていた。
「ハンターたるもの、常に裏の裏を読め。この位、分かっていたさ。」
俺はぐったりと倒れているデビルイスに向けて言い放った。
――完全に我の負けだ・・・・・・強くなったな・・・・・・・・・
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
――さぁ、殺すが良い。
「・・・・・・・・・」
俺は無言のまま、双龍剣をデビルイスの頭に何の躊躇いも無く突き刺した。
「Len・・・・・・・・・」
「終わった・・・・・・・・・」
そう言うと、俺はその場にどさりと倒れこんだ。凛が近づく。
「へへっ、討伐完了だ。さ、剥ぎ取ろうぜ。」
「・・・・・・・・・Len・・・・・・」
「・・・・・・やはり引くよな。それもそうだ。今まで、俺の覚醒に立ち会ったヤツは皆、俺から離れていった。当然と言ったら当然の事かもな。」
「結婚、取りやめてもいいんだぜ?」と俺は言ってみる。半分、本気だった。凛のためにもその方がいいのかもな。しかし。
「私を誰だと思っている。そのお前と結婚しているのだ。この程度で離婚するとでも?」
と、言ってくれた。
「ハハ・・・そう言うか・・・・・・ま、いいさ。サンキュ。」
それだけ言うと、俺は剥ぎ取り出した。
「・・・・・・これは・・・・・もしや・・・・・・」
「どうした?」
「いや、もしかしたらこれはヤツの皮かもしれん。」
「・・・・・・イマイチ価値が分からんのだが・・・・・・」
「この前、ヤツと戦った時には無かったものだ。もしかしたら、かなり珍しいものかもな。」
「いい記念になったではないか。」
「ハハハ・・・・・・(記念の意味がさっぱり分からん・・・)」
そうして、笑いながら俺と凛は村に戻って行った・・・